怪盗キッドは映画名探偵コナンシリーズで実に5回も工藤新一に変装しています。
キッドはコナンが工藤新一が幼児化した姿であることをちゃんと認識しており、劇場版名探偵コナン第14作「天空の難破船」では工藤新一に変装してほしいと頼むコナンに対して
「工藤新一は君だろ」
と返しています。
この設定は劇場版シリーズだけのオリジナル設定と思っている方も多いようですが原作でコナンがキッドは自分の正体を知っていることを前提にした発言をしていることから、劇場版⇒原作の逆輸入設定になっているようです。
熱心なコナンファンはともかく最近ファンになった方や映画シリーズしか見ていない方の中には「キッドはなぜコナンの正体を知っているの?」という方もいるかと思いますので、今回はキッドがコナンの正体を知っている理由について解説したいと思います。ただし原作・アニメともに直接的な描写はないので推論・考察が含まれますのでご注意ください。
・親世代からの因縁で新一に興味をもち自分で調べて辿り着いた可能性も?
・原作でコナンが母親が工藤有希子であることをキッドに伝えている
最有力候補: 「世紀末の魔術師」でコナンの正体を知った説
「なぜコナンの正体を知っているのか」で最も有力な説はキッドが劇場版シリーズに初登場した第3作「世紀末の魔術師」での一コマです。物語の最終盤、蘭に工藤新一であることがばれそうになったコナンは蘭の涙を見て自身の正体を明かそうとします。それを救ったのが新一に変装したキッドです。つまりこの時点でキッドはコナンの正体に気づいていたことになります。
ではどうやって気づいたのかというと、コナンと阿笠博士との電話にヒントがありました。大型クルーズ船で東京へと戻る中、右目を狙うスナイパーの存在に気づいたコナンは阿笠博士に連絡しその情報の調査を依頼します。その時に博士はコナンのことを「新一」と呼んでいました。その会話を白鳥警部に化けて盗聴していたのがキッドです。この会話を盗聴したことにより「コナン=新一」という事実に気づいたとする説です。
この説はファンの中では最有力でおそらくはその通りだと思うのですが、作中・公式ともに「これが理由」と言及するシーンがないので真相は定かではありません。ただ矛盾もなくすべてのつじつまが合っていることもあり特に異論もなくすんなりと受け入れられる説だと思います。
親の世代からの因縁で新一に興味を持ったキッドが調べて辿り着いた説
原作者の青山先生は「なんでキッドはコナンの正体を知っているんですか?」との質問に「さぁ。自分で辿り着いたんじゃない?」と回答しています。
この回答を元に私がオリジナルで唱えるのが「黒羽家には工藤家脅威論」があるという新説です。
キッドこと黒羽快斗の父親はマジシャン黒羽盗一で、初代怪盗キッドを務めていました。対して、怪盗キッドの名付け親でありライバルでもあったのがコナンこと新一の父、工藤優作です。優作は初代キッドの正体が黒田盗一であることに気づいており、また盗一自身もそのことを知っていましたが、警察に通報するなどは行わずあくまで対等な好敵手として関係を築いていたようです。
また、新一の母、工藤有希子は女優時代に演技の一環としてマジシャンとしての盗一に弟子入りしています。そう、有希子の他人を変装させる技術は盗一から教わったものなのです。
以上、新一の両親はいずれも黒羽盗一と浅からぬ関係であることが分かりました。
ここからは私の推論ですが、黒羽盗一は工藤新一を脅威に思ったことは間違いありません。また有希子の豪胆な性格や演技力も侮れない能力です。盗一自身、自分が死んだときのことを考えて快斗に様々なことを残したように、工藤家に対する脅威も何らかの形で残していたことも考えられます。
また快斗自身も、まじっく快斗第4巻「工藤新一vs怪盗キッド」にて工藤新一と対決したことがあり、新一について調査した可能性はあります。
その後、原作16巻「コナンvs怪盗キッド」で出会ったコナンに新一と似た匂いを感じたことで、コナンを調査しその正体に気づいた可能性は十分にあるのではないでしょうか?
こちらは「世紀末の魔術師」と違って関連する描写もないので憶測(というより願望)にはなりますが、そうであったら面白いなと思っています。
コナンの正体を知っている設定は原作に逆輸入されている
「キッドはコナンの正体が工藤新一であることを知っている」という設定ですが、ファンの中では原作にも適用されているか意見が分かれているようです。ただ私自身は原作にも適用されていると判断しています。
それが分かるエピソードが原作70巻「コナンキッドの龍馬お宝攻防」です。
作中でコナンは自分の母、つまり工藤有希子が女優時代に竜馬の姉の乙女役を務めたことをキッドに話しています。これはキッドが工藤新一の正体を知っていると認識しているからこその発言です。
キッドもその話を自然と受け入れていることから、お互いの共通認識であることがうかがえます。
つまりこの設定は映画のみではなく原作でも適用されているのです。
まとめ
キッドはコナンの正体を知っていることから黒の組織との対決での共闘もあるかもと予想されていましたが、それは原作78巻「漆黒の特急」で一度きりのスペシャルコラボとして実現しました。今後は二度とないと作者も語っていますが、キッドが正体を知っているからこそのシーンがこれからも登場すると良いですね。その一番の代表例は世紀末の魔術師のラストでコナンを助けたシーンだとは思いますが。