1996年から放映がスタートしたアニメ「名探偵コナン」ですが、漫画原作ということもありアニメ化にはさまざまなハードルがあったことでしょう。
放送当初は人気がでるか制作側も半信半疑だったため、いつ終わってもいいように2話以降の黒の組織関連エピソードを
ジン・ウォッカ以外の犯人を用意するなど、なるべく伏線要素を削除して制作されました。
そんな中、作品人気も軌道に乗り映画もヒットしていた2000年1月に放送された「黒の組織との再会」シリーズですが
アニメ化にあたり制作スタッフが後の展開に関わる重大なミスをしたことをご存じでしょうか?
今回はそんなお話です。
・コナンや灰原が元に戻るためには解毒薬や白乾児に+αとして「風邪を引いている」という隠れたファクターがある
・原作でコナンはこの事実に気づいていないが、アニメでは気づいてるかのような発言をしてしまった
アニメ「黒の組織との再会(コナン編)」について
2000年放送の「黒の組織との再会(コナン編)」にて、黒の組織のメンバー「ピスコ」は灰原哀が宮野志保が幼児化した姿であると気づき
彼女を拉致しホテルの酒蔵に監禁します。
ピスコは別件による警察の事情聴取で拘束されたため灰原は無事でしたがジンやウオッカが酒蔵に向かっており絶体絶命の状態でした。
灰原と電話することでこの状況を把握したコナンは酒蔵の煙突が「大人なら這って上にあがり脱出に使用できる」ことから
「その部屋から脱出させてやるんだよ・・・ おまえにとっておきの魔法をかけてな!」
と語り、灰原にとある指示を飛ばしました。(ここのどや顔はかっこいい!!)
それは酒蔵にある中国の古い酒「白乾児(パイカル)」を飲むことで灰原を元の姿、すなわち宮野志保の姿に戻すことで
暖炉を大人の姿で這い上がらせるという脱出作戦です。
原作10巻「外交官殺人事件」で服部平次のお土産として持参した白乾児を飲んだコナンは一時的に工藤新一の姿に戻ることができました。
阿笠博士とコナンは「白乾児の何らかの作用により一時的に元の姿に戻った」と考え白乾児に注目していました。
このことから灰原にも白乾児を飲ませることで元の姿に戻そうと考えたのです。
白乾児を飲んだ灰原はコナンの狙い通りに元の姿に戻ることで酒蔵からの脱出を果しました。
これが本エピソードのあらすじです。
原作とアニメの違い
ここで原作とアニメの違いを見てみましょう。
原作でのやりとりは黒字、それに対しアニメで追加されたセリフを赤字で記載します。
コナン:「た、確かそこ酒蔵だって言ってたよな?」
灰原:「ええ・・・ 古くなって使わなくなった暖炉つきの部屋を酒蔵にしたって感じね・・・ 」
コナン:「そこに白乾児ってあるか?」
灰原:「パイカル?」
コナン:「ああ・・・中国のきつい酒だ・・・」
灰原:「それは知ってるけど・・・」(中略)「でも、そんなもの何に?」
コナン:「お前、風邪はどうした?朝、風邪気味だって言ってたろ?」
(中略)
灰原:「おかげさまで。しばらく床に寝てたせいで熱が上がったみたいよ」
コナン:「そうか・・・」
灰原:「あら?なんだか嬉しそうに聞こえるけど?」
コナン:「まぁな・・・」
灰原:「あったわよ白乾児・・・」「でもどーするの?こんな酒・・・」
コナン:「その部屋から脱出させてやるんだよ・・・ おまえにとっておきの魔法をかけてな!」
いかがでしょうか?原作とアニメで一部のセリフが追加されていることが分かりますが、この内容を要約すると
アニメのコナンは元の体に戻るために白乾児の成分とプラスして「風邪を引いていること」が必要であることを認識しているのです。
この描写は原作にもなく最新刊の98巻まで「元の体に戻るためには解毒薬(or白乾児)と風邪を引いていることが条件」ということにコナンが気付いている描写はないんです。
これは小さいことに見えて結構大きな問題です。
例えば、同じくAPTX4869で小さくなった世良真純の母、メアリー世良は繰り返し咳をする姿が描かれており
APTX4869並びに解毒薬の作用に風邪が関係する可能性が示されています。
これにコナンが気付いているのか・いないのかは後の展開に大きく影響を与えそうです。
このアニメの描写に関する原作者の青山剛昌先生の正式なコメントは見つけられませんでしたが
「以降の描写に影響を与えている」とボヤいていたとの情報もあるので、誤算だった可能性がありますね。
まとめ
コナンシリーズは原作は1000話を超え、アニメもまもなく1000話を迎えるという状況ですので
どうしてもこういった出来事は発生してしまうと思います。仕方のないことです。
青山先生やアニメスタッフはこういったミスを逆に伏線に利用したりもしているので上手くストーリーに活かしてほしいですね。